IFRSと日本基準-財務諸表、損益計算書の違い Vol.3【事例で解説】
IFRSと日本基準の財務諸表における大きな相違点
(1)継続事業と非継続事業の区分表示
このように当期利益を2つに分けて表示する理由としては、「継続事業からの当期利益」に焦点を当てることで、将来、企業にどれだけのキャッシュ・フローが入ってくるかの予測に役立つことが挙げられます。非継続事業から生じる損益は将来にあまり影響を及ぼさないので、両者の損益区分がないと、将来予測の障害となる可能性があります。例えば、収益性が著しく低い売却予定の不採算事業があって、過去数年の当期利益が低く出ていたとしましょう。この場合、過去数年の当期利益水準の延長上で将来予測をすれば、この売却予定の不採算事業(=非継続事業)の損益によって、予測当期利益が下振れしてしまうでしょう。
(2)「経常的/臨時的」の区分がない
IFRSでは、「営業に関する損益」と「金融損益(営業以外に関する損益)」の区分のみ存在します。IFRSには、日本基準で「ケイツネ」と言われる「経常利益」(経常損失)の概念はなく、また、「特別損益」の表示も禁止しています。したがってIFRSにおいては、営業利益の次は、いきなり税引前利益になります。リストラ費用、固定資産の売却損益や火災・災害等の特別な事象による損益でも、特別損益を計上することは認められず、営業損益に含まれることになります。IFRSにおいて経常利益が存在しない理由は、特別損益が認められていないからだと考えることも可能です。
実は、経常利益は日本独特のものなのです。日本基準においては、臨時的に発生する巨額かつ特殊な損益(=特別損益)を含まない利益としての経常利益が、「通常な状態での収益力」を表す業績指標として重視されてきた背景があります。しかし、企業を経営する上で、様々な特別な事象が起きるのは当然であり、それらをコントロールするのも経営者の責任であり、特別損益までをも含めて収益力を測る、とするのがIFRS の考え方です。
損益計算書とその他の包括利益計算書の雛形
●事例:味の素の損益計算書を見てみましょう!
損益計算書を上から見ていきますと、「事業利益」 (注2) という項目が出てきますが、いったい何の利益かと疑問を抱く方もいることでしょう。これは、味の素が、独自の判断により追加したものです。下に出てくる営業利益とは区別する意図で、敢えて事業利益という名称が用いられています。このように、IFRSの特徴として、独自の判断により表示項目を追加することも可能です。 IFRSでは、日本基準のように段階損益 (注3) については具体的な定めはありませんが、企業の業績の理解を行う上で重要な場合には、追加的な表示科目、見出し、小計を表示することを要求しています。
【貸借対照表と損益計算書】~#7 キャッシュフロー計算書~
資産運用ブログ
今回は最後の財務諸表である「キャッシュフロー計算書」についてお話しします。
キャッシュフロー計算書とは
それは、 現金の収入と支出を把握するため です。
現在の会計基準は 「発生主義会計」 に基づいて行われています。
キャッシュフロー計算書の内容
まず、aの営業活動によるCFについては本業での利益のため基本的には プラス になります。
続いてbの投資活動によるCFは設備投資等になるため支出となり、基本的には マイナス になります。
最後、財務活動によるCFについては 資金調達分はプラス になり、利息や元利金の 支払いを行った分はマイナス になるため、ここの部分はまちまちです。
そしてaとbを足した分をフリーキャッシュフロー(損益の計算における発生主義 FCF)と言います。
理想的なキャッシュフローとは
キャッシュフロー計算書の実例:東芝
しかし、このように 各CFのバランスが良い意味でも悪い意味でも大きく変化した時は経営上何か節目を迎えたサイン として捉えることが出来るのです。
年収300万円の個人事業主の手取りはいくら?税金計算や確定申告での節税方法も解説
【青色申告者の場合 損益計算書】
【白色申告者の場合 収支内訳書末尾】
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
令和 年分収支内訳書(一般用)を加工して作成
- 売上高 1,000万円 / 必要経費 700万円
- 売上高 350万円 / 必要経費 50万円
上記の前提に基づいた年収300万円の青色申告者、白色申告者の手取り額は次のようになります。
比較項目 | 青色申告 | 白色申告 | 備考 |
---|---|---|---|
年収 | 300万円 | 300万円 | |
※控除額 | 65万円 | 0円 | 青色申告特別控除額は 最高額を控除するものと仮定 |
※基礎控除 | 48万円 | 48万円 | 所得税における基礎控除額 |
年金保険料 | 20万円 | 20万円 | 月額16,590円×12ヶ月 |
健康保険料 | 24万円 | 30万円 | 東京都世田谷区の保険料にて暫定計算 |
所得税 | 7万円 | 10万円 | 青色:課税所得143万円 白色:課税所得202万円 |
住民税 | 15万円 | 21万円 | 青色:課税所得148万円 白色:課税所得207万円 均等割5,000円、税率10%で計算 |
差引手取額 | 約234万円 | 約219万円 | 約15万円差となる |
年収300万円の個人事業主が支払う税金の種類・計算方法は?
個人事業主の所得税
確定申告書では所得税を計算します。 所得税は国に納める国税で、所得税の計算の大まかな流れは次のとおりです。
- 帳簿から損益計算書(白色の場合は収支内訳書)を作成する
- 確定申告書に収入、所得を記載する
- 所得控除を計算する
- 2.の所得から3.の所得控除の合計を差し引きし、課税所得を求める
- 課税所得に税率を掛け、所得税額を求める がある場合には差し引きをする
個人事業主の住民税
住民税は地方税であり、都道府県民税と市区町村民税の総称です。徴収の目的は、地域における公共サービスのためとされます。住民税は、所得金額にかかわらず負担がある均等割と、所得金額に応じて課税される所得割から構成されます。
住民税の計算の大まかな流れは次のとおりです。
- 所得税の計算における合計所得金額から所得控除を差し引き、課税所得を求める
- 1.の課税所得に税率を掛けて所得割の計算をする(税率は一律10%)
- 税額控除がある場合には2)の所得割額から差し引き
- 3.の差引後の税額に均等割額を加算する
通常は5,000円(市町村民税3,500円と道府県民税1,500円)
個人事業主のその他の税金
個人事業税
個人事業主には、 地方税法等で定められた事業に対して個人事業税という地方税がかかります。 年収300万円の個人事業主については、個人事業税の計算過程で所得から差し引ける事業主控除が290万円あるため、さらに基礎控除があることを勘案すると課税の対象とはなりません。
基準期間の課税売上高が1,000万円以上になれば、消費税の申告納税が必要です。 消費税は原則として、顧客などから受けた消費税から自分が払った消費税を引いた差額を納付します。
その他の税金
事業において不動産を登記する場合には、登録免許税がかかります。 事業に供している固定資産があれば、固定資産税や償却資産税が課せられます。
事業用の車両などには自動車税がかかりますし、書面で契約書など課税文書を取り扱えば印税がかかります。
年収300万円の個人事業主の手取りはいくら?税金計算や確定申告での節税方法も解説
【青色申告者の場合 損益計算書】
【白色申告者の場合 収支内訳書末尾】
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
令和 年分収支内訳書(一般用)を加工して作成
- 売上高 1,000万円 / 必要経費 700万円
- 売上高 350万円 / 必要経費 50万円
上記の前提に基づいた年収300万円の青色申告者、白色申告者の手取り額は次のようになります。
比較項目 | 青色申告 | 損益の計算における発生主義白色申告 | 備考 |
---|---|---|---|
年収 | 300万円 | 300万円 | |
※控除額 | 65万円 | 0円 | 青色申告特別控除額は 最高額を控除するものと仮定 |
※基礎控除 | 48万円 | 48万円 | 所得税における基礎控除額 |
年金保険料 | 20万円 | 20万円 | 月額16,590円×12ヶ月 |
健康保険料 | 24万円 | 30万円 | 東京都世田谷区の保険料にて暫定計算 |
所得税 | 7万円 | 10万円 | 青色:課税所得143万円 白色:課税所得202万円 |
住民税 | 損益の計算における発生主義15万円 | 21万円 | 青色:課税所得148万円 白色:課税所得207万円 均等割5,000円、税率10%で計算 |
差引手取額 | 約234万円 | 約219万円 | 約15万円差となる |
年収300万円の個人事業主が支払う税金の種類・計算方法は?
個人事業主の所得税
確定申告書では所得税を計算します。 所得税は国に納める国税で、所得税の計算の大まかな流れは次のとおりです。
- 帳簿から損益計算書(白色の場合は収支内訳書)を作成する
- 確定申告書に収入、所得を記載する
- 所得控除を計算する
- 2.の所得から3.の所得控除の合計を差し引きし、課税所得を求める
- 課税所得に税率を掛け、所得税額を求める がある場合には差し引きをする
個人事業主の住民税
住民税は地方税であり、都道府県民税と市区町村民税の総称です。徴収の目的は、地域における公共サービスのためとされます。住民税は、所得金額にかかわらず負担がある均等割と、所得金額に応じて課税される所得割から構成されます。
住民税の計算の大まかな流れは次のとおりです。
- 所得税の計算における合計所得金額から所得控除を差し引き、課税所得を求める
- 1.の課税所得に税率を掛けて所得割の計算をする(税率は一律10%)
- 税額控除がある場合には2)の所得割額から差し引き
- 3.の差引後の税額に均等割額を加算する
通常は5,000円(市町村民税3,500円と道府県民税1,500円)
個人事業主のその他の税金
個人事業税
個人事業主には、 地方税法等で定められた事業に対して個人事業税という地方税がかかります。 年収300万円の個人事業主については、個人事業税の計算過程で所得から差し引ける事業主控除が290万円あるため、さらに基礎控除があることを勘案すると課税の対象とはなりません。
基準期間の課税売上高が1,000万円以上になれば、消費税の申告納税が必要です。 消費税は原則として、顧客などから受けた消費税から自分が払った消費税を引いた差額を納付します。
その他の税金
事業において不動産を登記する場合には、登録免許税がかかります。 事業に供している固定資産があれば、固定資産税や償却資産税が課せられます。
事業用の車両などには自動車税がかかりますし、書面で契約書など課税文書を取り扱えば印税がかかります。
IFRSと日本基準-財務諸表、損益計算書の違い Vol.3【事例で解説】
IFRSと日本基準の財務諸表における大きな相違点
(1)継続事業と非継続事業の区分表示
このように当期利益を2つに分けて表示する理由としては、「継続事業からの当期利益」に焦点を当てることで、将来、企業にどれだけのキャッシュ・フローが入ってくるかの予測に役立つことが挙げられます。非継続事業から生じる損益は将来にあまり影響を及ぼさないので、両者の損益区分がないと、将来予測の障害となる可能性があります。例えば、収益性が著しく低い売却予定の不採算事業があって、過去数年の当期利益が低く出ていたとしましょう。この場合、過去数年の当期利益水準の延長上で将来予測をすれば、この売却予定の不採算事業(=非継続事業)の損益によって、予測当期利益が下振れしてしまうでしょう。
(2)「経常的/臨時的」の区分がない
IFRSでは、「営業に関する損益」と「金融損益(営業以外に関する損益)」の区分のみ存在します。IFRSには、日本基準で「ケイツネ」と言われる「経常利益」(経常損失)の概念はなく、また、「特別損益」の表示も禁止しています。したがってIFRSにおいては、営業利益の次は、いきなり税引前利益になります。リストラ費用、固定資産の売却損益や火災・災害等の特別な事象による損益でも、特別損益を計上することは認められず、営業損益に含まれることになります。IFRSにおいて経常利益が存在しない理由は、特別損益が認められていないからだと考えることも可能です。
実は、経常利益は日本独特のものなのです。日本基準においては、臨時的に発生する巨額かつ特殊な損益(=特別損益)を含まない利益としての経常利益が、「通常な状態での収益力」を表す業績指標として重視されてきた背景があります。しかし、企業を経営する上で、様々な特別な事象が起きるのは当然であり、それらをコントロールするのも経営者の責任であり、特別損益までをも含めて収益力を測る、とするのがIFRS の考え方です。
損益計算書とその他の包括利益計算書の雛形
●事例:味の素の損益計算書を見てみましょう!
損益計算書を上から見ていきますと、「事業利益」 (注2) という項目が出てきますが、いったい何の利益かと疑問を抱く方もいることでしょう。これは、味の素が、独自の判断により追加したものです。下に出てくる営業利益とは区別する意図で、敢えて事業利益という名称が用いられています。このように、IFRSの特徴として、独自の判断により表示項目を追加することも可能です。 IFRSでは、日本基準のように段階損益 (注3) については具体的な定めはありませんが、企業の業績の理解を行う上で重要な場合には、追加的な表示科目、見出し、小計を表示することを要求しています。
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